入梅
(山の旅籠の膝枕)






さらさらと雨は山辺に降りしきり やがて集まり谷へと落ちて
跳ねる魚の鱗が光る ゆく笹舟に松の枝

火照る背中が見る見る冷えて
ぬくもり恋し 膝枕


「モウいけない、こんなに降られては僕の体に根が生える」
もごもご不平を呟くけれど
山や庭木の様を見て、 雨に洗われいや増す緑
山に吸い込まれるようじゃなくって?


髪を撫でるとにじり寄る つむじを眺めてご満悦
二人を包む、雨の音



おしまい

しとしとじめじめ雨の月
湿気に弱いアクスムと山の旅籠で長逗留。
梅雨の合間に傘下げて、二人散歩へ出かけましょ

2005.6.3




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